木密地域解消、道遠く 住民高齢化・資金不足 首都直下地震対策

2022/09/15

    東京都内では、首都直下地震が懸念されているため、木造住宅密集地域(木密地域)の解消が課題だ。
    都内では、老朽化した家屋も多く、直下型地震の際に倒壊や延焼の危険性が高いため、都は重点的に対策を講じる必要があるとする区部の52地区を「不燃化特区」に指定。
    これらの地区を延焼の危険性がほぼなくなるとされる不燃領域率70%を目指しての建て替えや道路拡幅を後押ししている。
    しかし、70%を達成できたのは数カ所にとどまっており、目標達成が難しいのが現状だ。
     
      東京都は、東日本大震災後の2012年、木密地域を早期に解消するためには重点的、集中的な取り組みが必要として「木密地域不燃化10年プロジェクト」を開始。
      52ある不燃化特区の一つ、葛飾区四つ木1、2丁目地区。
      京成押上線と国道6号、綾瀬川に囲まれた28・1ヘクタールに木密地域が広がり、老朽木造建物の割合は約4割となっている。
      地震による建物倒壊や火災発生、避難・救助の困難さなどをもとに都が5段階で評価した「地域危険度(総合)」では、1、2丁目とも危険度が高い方から2番目の「4」とされている。
       
        地区を歩くと、幅4メートル以下の狭い道が迷路のように入り組み、両脇に木造住宅が所狭しと建ち並ぶ光景が広がる。
        また、狭い交差点を曲がりきれずに何回か切り返す車も見かけた。「四ツ木駅周辺地域街づくり協議会」の事務局長を務める佐藤孝良さん(53)は「消防車や救急車が入っていけないところもある」と話す。
        都や葛飾区は不燃化特区について、固定資産税の減免や老朽建築物の取り壊し費用の助成など、個人向けに支援策を講じてきたが、建て替えを最終的に判断するのは所有者だ。
        建て替えるとなると1000万円単位のお金がかかることから、多くのお年寄りから懸念されている。
         
           都はプロジェクトのうち、不燃化特区の助成のような一部の支援制度を25年度まで延長した。
          葛飾区でも都と協議し、新たに老朽木造住宅の取り壊しと建て替えをするための設計費などを含めて最大200万円を助成するプランを作った。
          区都市計画課の担当者は「所有者それぞれの事情もあるので、地道に取り組んでいくしかない。所有者の建て替えなどのきっかけやタイミングが合えば、支援制度もうまく活用してもらえるのではないか」と話す。

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