ダサいで人気!サマンサタバサ「賞与」不支給に 赤字に転落

2023/12/15

    旬のハリウッドセレブや人気モデルを起用し、一世を風靡した日本発バッグブランド「サマンサタバサ」の地盤沈下が止まらない。
    バッグやアパレル、ジュエリーを展開するサマンサタバサジャパンリミテッド(以下、サマンサ)は12月12日、2024年2月期の業績を下方修正した。
    修正後の会社計画は、売上高236億4000万円(修正前は261億1900万円)、本業のもうけとなる営業損益は10億5000万円の赤字になるとし、従来予想4億3000万円の営業黒字から赤字転落することとなった。
    今回の修正により、サマンサの営業赤字は5期連続、最終赤字に至っては8期連続となる。
    最大の要因は、販売の苦戦。
    インバウンド需要が順調な一方、柱である国内の客数が伸び悩んだ。秋冬商戦がスタートした9月と10月も、残暑が続いたことで低調に推移。
    客数が当初計画の8割程度にとどまる見通しで、年末商戦での挽回も厳しいと判断した。
    業績不振を受けてサマンサは、12月に支給予定だった冬季賞与を支給しないことも発表した。
    「これまで冬季賞与の取り扱いについて議論を重ねてまいりましたが、改めて手元流動性の確保を経営の最優先課題と認識」(同社)したと説明している。
    実際にサマンサの財務状況を見ると“火の車”だ。
    前2023年2月末の自己資本比率は、債務超過ギリギリの0.6%まで低下。
    5月に親会社のコナカに優先株を発行することで約16億円を調達したことで、直近(2023年8月末時点)の自己資本比率は6.2%まで回復しているが、依然として危険水域は脱せていない。
    10~20代女性を中心に支持を得て、平成の時代に急成長を遂げたサマンサ。
    苦境は以前から続いていたが、直近の同社の経営を振り返ると、「3つの曲がり角」があったといえる。
    1つ目は、紳士服チェーン・コナカによる子会社化だ。
    コナカはサマンサの株式59.1%を所有している。
    コナカによるサマンサの子会社化には、少々複雑な経緯がある。
    2019年6月、サマンサの創業者で当時約6割超の株式を保有していた寺田和正氏が、個人的な親交のあるコナカの湖中謙介社長に対し、サマンサ株31.3%を約34億円で売却。
    寺田氏はその後、代表権のない取締役に退いた。
    そして同年9月、湖中謙介社長個人が所有していたサマンサ株をコナカが全て取得して関連会社となった。
    寺田氏が自身の会社の株式を放出した2019年当時、同社の業績はピークアウトしていた。2015年2月期に過去最高の純利益を記録した後、主力のバッグの販売不振などにより業績が低迷。
    2017年2月期から現在に至るまで、サマンサは7期連続で最終赤字から抜け出せていない。
    米田社長の主導で現在、サマンサの「リボーン計画」が進められている。
    商品から店舗・ネット通販といったフロント部分から、生産・物流などの裏側に至るまで全面的に見直し、最適化を図る狙いがある。
    たとえば組織・業務改革では、ブランド横断で商品を開発する体制に見直した。「サマンサタバサ」というブランドの“聖域”にメスを入れ、ブランドごとのコンセプトやターゲット層、価格帯などの再定義を行い、重複部分の投資を減らしている。物流拠点も5拠点から1拠点に集約するなど、業務効率化を徹底する。
    これにより従来のブランド別出店から、サマンサのブランドをひとまとめにした店舗開発にも注力している。
    女性向けのサマンサタバサと、男性向けブランド「KINGZ(キングズ)」も集結させて、幅広い層の集客を狙う。
    サマンサは長年の構造不況から脱し、再び輝きを取り戻すことができるのか。

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