合体し始めたばかり。おとめ座の渦巻銀河「NGC 4567」と「NGC 4568」

2022/10/12

    「おとめ座」の方向にある約6000万光年先にある2つの渦巻銀河「NGC 4567」と「NGC 4568」の配置は、地球から「V字」を描くように見える。 そのため、海外では、その姿が蝶にたとえられて「Butterfly Galaxies(バタフライ銀河)」とも呼ばれている。
     
      重力相互作用の初期段階であるNGC 4567とNGC 4568は、複数の銀河が重力を介して影響を及ぼし合っているため「相互作用銀河」と呼ばれており、そのなかには元の姿から大きく歪んでいるものも観測されている。
       
        画像を公開している米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)では、観測されている両銀河の中心は2万光年ほど(太陽系から天の川銀河の中心までの距離と同じくらい)離れており、どちらも渦巻銀河としての形態をまだ保っているとのこと。しかし、接近・通過を繰り返す両銀河が互いに引き寄せあって合体が進行すると、姿は大きく歪み、星とガスの長大なストリームが引き伸ばされるようになる。
         
          また、予想されることとして「それぞれの銀河に存在するガスや塵を材料としたスターバースト(爆発的な星形成活動)も引き起こされる」と、言われている。
           
            最終的に、NGC 4567とNGC 4568は約5億年後に融合して、1つの楕円銀河が誕生していく。
            融合した後には、同じ「おとめ座銀河団」に属する楕円銀河「M89(Messier 89)」に似ているとも言われており、M89は星形成に必要なガスが乏しく、主に古い小質量星や古い球状星団で構成されている。
             
              天の川銀河は、約250万光年先の渦巻銀河「アンドロメダ銀河(M31)」と接近し続けていて、今から約50億年後に衝突する。
              天の川銀河とアンドロメダ銀河も相互作用銀河の段階を経て融合し「ミルコメダ」と呼ばれる1つの銀河が誕生する。
               
                ハワイのマウナケア山にあるジェミニ天文台の「ジェミニ北望遠鏡」(口径8.1m)を使って2020年に撮影されたものは、NOIRLabから2022年8月9日付で公開されている。
                 
                  また、NGC 4568では、2020年3月に超新星「SN 2020fqv」が検出されていることから、画像にも残光が残っているのだ。
                  SN 2020fqvは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の系外惑星探査衛星「TESS」が爆発前後の明るさの変化を捉えることに成功し、「ハッブル」宇宙望遠鏡などでも観測が行われている。

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