4000万円の住宅ローンを組んだ「年収800万夫婦」が抱えていた「ヤバい破綻リスク」

2023/01/07

    共働き夫婦が増えてきたことで、ペアローンの利用も増加している。
    しかし、ローンを組む前にしっかり準備しておかないと、最悪の場合「ペアローン破綻」という結果を招かない。
    その知られざる重大なリスクについて、実例をもとに解説していく。
    新居に暮らし始めてからすぐに美紀さんが妊娠し、1年後には第一子も誕生。
    陽介さんと美紀さん夫妻は幸せな生活を送っていた。
    育児休暇を取得していた美紀さんは、出産後しばらくして仕事に復帰していた。
    育児を始めたての頃は2人で協力しながら、仕事と育児を両立していたという。
    ところが互いに仕事が忙しくなると生活にもすれ違いが生じ、しだいに些細なことでケンカになることが増えてきた。
     
      その事について、美紀さんは
       「子どもが1歳になったあたりから、夫婦での口論が増えましたね。僕が子どもを保育園に迎えに行く当番だったのが、急に取引先との打ち合わせが入って妻にお願いすることになったり、逆に妻が忙しくて、僕のワンオペ育児の時期が続いたり……。子育てと仕事を両立しようとして無理が重なり、互いにイライラしていたんだと思います」
       
        このように夫婦関係には、少しずつ溝が生じていった。
        そして、子どもが2歳の誕生日を迎えた直後、陽介さんと美紀さんは話し合いを重ねた末に離婚を決断をした。
         
          子どもの親権は母親の美紀さんが持つことになったが、困ったのが自宅マンションをどうするかという問題である。
          住宅ローンはペアローンで組んでいたため、物件の名義は二人の共有。
          陽介さんはマンションを売却してローンを清算したいと考えていたが、調べてみるとなかなか難しいことが判明した。
           「住宅ローンの借入残高が3500万円以上残っているのに対して、そのマンションの市場価格は3000万円程度で、売却してもローンを完済できないんです。全額返済するには、マンションを売ったうえで、差額の500万円超を現金で用意しないといけないとわかり、途方にくれました」
           
             一方の美紀さんは、売却自体に乗り気ではなかったという。
            「妻は離婚した後も、子どもと2人で住み慣れたマンションに住み続けたいと主張していました。確かに通勤にも便利ですし、保育園も変えなくて済みますから」
             
              陽介さんは仕方なく自宅マンションを引き続き所有し、美紀さんと子どもが住み続けて、住宅ローンはこれまでどおり2人で支払うことに同意。
              陽介さんにとっては、新たに自分が住むために借りる住居の家賃とダブルで支払うことになるため、毎月の負担は決して軽くはなかった。
               
                このような結果にした理由は、離婚するとはいえ、元妻の美紀さんと子どもにストレスを与えたくないという思いもあり、同時に共有であったとしても自分がマンションの半分を所有していることには変わりないと考えたのだ。
                 
                  こうして陽介さんと美紀さんの離婚は円満に成立し、懸案事項だった住宅ローンについても解決していった。

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