安倍元首相事件で、愕然とした。転職宣言する記者。

2023/05/25

    救いようのない業界とされている新聞社の現場では悲壮感が漂っている。
    そんな中で、とある新聞社では公に「転職宣言」をする記者が出てきてしまった。
    転職宣言を出した記者は、数年前に地方支局を回って東京の社会部にあがってきたものの、警察担当でなかなか結果を出すことができずにいたそうだ。
    そのようなことが続いたある日『僕はデジタルコンテンツを扱う部署に行きたいです』と、突然言い出したのだった。
    同じ部署の後輩だったため『どうしたの、急に』と事情を聴くと、一切隠すことなく『この会社に未来はないので、デジタルの知見をつけて新聞以外の業種に転職したいからです』と説明してきたのだ。
    あまりにも堂々としている後輩記者の様子に『そっか……』としか言えない当事者の方は、入社して10年以上もたちますが、ここまで大胆に転職宣言をする記者はこれまでにはいなかったと語っている。
    そもそも私世代の新聞記者は未だに「エリート」認識を持っている人が多いため、後輩の発言に戸惑っている社員も多かったようだ。
    その一方で「この状況じゃ会社を辞めたくなる」と漏らすのは全国紙の事件記者とのこと。「昨年の安倍晋三元首相銃撃事件で、新聞という媒体の限界をまざまざと感じてしまった」と説明している。
     
      事件記者は「元総理大臣が暗殺されるという大事件が奈良で起きたため周辺支局、大阪の社会部が総動員で現地入りし、東京は警察庁や政界にアタックするなど大展開をかけました。うちだけでなく全新聞社が血眼になって事件の真相や背景を探ろうとしたわけです。しかし、一番深い記事を書いたのは新聞ではありませんでした」と語っている。
      事件発生から6日後の7月14日、週刊文春は「伯父が告白<150分>山上徹也『父の自殺と母の統一教会1億円』」というインタビューを掲載した号を発売。
      これを見て前述の記者は「愕然とした」と振り返っている。
      政治家のスキャンダルを暴き続ける『文春砲』の脅威はずっと感じていたものの、それでも、事件報道においては『新聞の独壇場』であるとは思っていた事件記者。
      その理由として、新聞にはとんでもない数の兵隊(記者)がいるため、大事件が起きれば各社が「ヨーイドン」で大量の記者を投入し、人海戦術で取材攻勢をかけることができためだ。しかし、どこの新聞も山上徹也容疑者の伯父にはたどり着くことはできなかった。
       
        新聞と文春でここまで差がついてしまった現実を前に、自分の存在意義を見失っているとも感じたそうだ。
        その後、新聞バッシングが続いたことも原因だ。
        「私は新聞者を辞めて、IT企業に転職しましたが、辞めたあとの方が大変でした」
        そう語るのは元全国紙記者の30代男性もいる。
        今は転職してよかったと思っているそうだが「社会人としての一般常識のなさを痛感しました。毎朝同じ時間に出社する、というのも慣れるまでは本当に大変でした(笑)」と、新聞記者との違いに驚いている。
        だが、転職したことによって未練も断ち切ることができ、今の生活に十分満足しているそうだ。

この投稿はコメントがまだありません。

コメントを書く

  • コメントは管理者による認証後に反映されます。