高校生らしさとは、受け入れる多様性と校則などは体罰か

2023/03/03

    兵庫県姫路市の県立高校が2月の卒業式。
    髪形を理由に3年の男子生徒(18)=当時=が卒業生用の席に着席することが認められず、他の生徒がいない2階席に隔離していたことが判明した。
    生徒は日本人の母親と米国籍の父親を持ち、父親のルーツである黒人文化では伝統的な髪を編み込む形にして出席。
    海外にルーツを持つ子どもが増える中、校則や頭髪指導のあり方が問われる問題ではないかと注目されている。
    生徒は取材に対し「さまざまな背景や髪質の人がいるのに一律に校則違反と決めつけるのはおかしい。ルーツを尊重してほしい」と話している。
    生徒や両親によると、生徒は巻き毛で横に広がりやすい髪質だそうだ。
    卒業式を前にした頭髪検査で「髪が耳にかからないように」と教師の指導を受け、校則では髪形について「高校生らしい清潔なもの」と規定。
    とくに、男子は「目や耳、襟にかからない」との基準がある。
    生徒は式の前日、自らのルーツや髪質を踏まえて美容室で髪を編み込んでもらい、耳周りも短くした。
    派手にならないよう美容師に相談し、染色や付け毛などはしていないという。
    しかし、当日の朝、複数の教師から「これは何や」と髪形について詰問。
    生徒は「耳にかからないようにした」と説明したが、「校則に合っていない。高校生の髪形ではない」と言われ、生徒指導室で約1時間待機させられた。
    その後、式が始まっていた体育館に連れて行かれ、他の生徒のいない2階席へ行くよう求められた。
    名前を呼ばれても返事しないように念押しされ、生徒は「式にいる意味がない」と考え、両親とともに式の途中で帰宅した。
    生徒は中国生まれで日本と米国の二重国籍。
    黒人である父親は「編み込みは黒人が髪を整える方法で、日本人が分け目を作って髪を整えるのと同じ。ルーツとする髪形を理由なく違反と決めつけることは差別ではないか」と批判。編み込みは「コーンロー」と呼ばれ、アフリカ発祥とされる伝統的な髪形。
    父親によると、自分たちの髪質のままで清潔感のある髪形として、米国では黒人の子どもや女性にも浸透している。
    教頭は取材に「伝統的髪形を否定しているわけではなく、髪質に応じた指導をしてきた。別の場所で出席させるということで、生徒が卒業式に出席できなかったわけではない」と話している。

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