「記憶力がアップ」新発想ふせん 生徒のアイデアが特許取得、学校から大口注文も

2023/06/25

    樫原さんが開発した「エビングハウスフセン」は、記憶定着のためのベストな復習のタイミングが一目で分かるふせんだ。
    この付箋ができたきっかけは、ドイツの心理学者・エビングハウスが提唱した、時間の経過と記憶の関係をグラフで示した「忘却曲線」がヒントになっている。
     
      「エビングハウスフセン」の使い方は、まず「学習した日にちの数字のふせん」を復習したい箇所に貼る。
      あとはふせん上部に印刷された「学習した翌日」「1週間後」「4週間後」の数字の日付に沿って、合計3回の復習を行うことで定着率を高めていく。
      例えば、学習したのが1日なら、一番下に「1」と印刷されたふせんを使い、2日、8日、29日に復習するという具合である。
      樫原さんが忘却曲線を知ったのは、中学受験の勉強をしていた小学生の頃。忘却曲線を応用した問題集に効果を感じ、その他の学習にも取り入れるようになっていった。
      「具体的には、社会などの暗記項目や解けなかった数学の問題を『学習した翌日』『1週間後』『4週間後』に復習し、学習の定着率を高めました」。
      当初は両親がファイルを使って管理してくれたが、中学生になってからは自分で市販のふせんに復習すべき日付を記入して使った。
      後期課程(高校3年間に相当)進学を目前にしたある日、樫原さんのふせんの使い方を目にした父の「それって特許取れるんじゃない?」という言葉にぴんときたそうだ。
      「特許が取りたいというより、高1の探究学習のテーマになるのではと思いました」と語っている。
      特許には「最先端の技術」で取るものというイメージがあったが、「うまくいったら面白そうだし、うまくいかなくてもいい感じに論文にできそう」、そう思って挑戦してみること。
      5月31日現在、エビングハウスフセンを取り扱っているのは「CHOOSEBASE SHIBUYA」のほか、お取り寄せ通販サイト「47CLUB」、西武・そごうのショッピングサイト「e.デパート」の計3カ所。
      1冊660円から販売されている。メディアでの紹介や口コミなどで知名度は確実に上がりつつある。
      「試しに1個使ってみた方からその後まとめて100冊注文、国家資格取得のための専門学校から500冊注文がありました。効果を感じてもらえたのかな。すごくうれしいですね」。
      時にはSNSで「エビングハウスフセンのおかげで試験に合格した」といったコメントを見つけることもあるという。
      「文献ではなく実体験をもとにした探究学習で、ふつうの高校生活では出会えない多くの人と出会えた。視野が広がり、進路選択の参考になりました」と話し、「初めてのことに挑戦するのは怖いけど、やってみて失敗するのもいい経験です」と笑顔で語った樫原さんである。

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