NASA、太陽光を受け宇宙船を動かす「ソーラーセイル」

2022/06/13

    NASAが、NASA Innovative Advanced Concepts(NIAC)プログラムの一環としてDiffractive Solar Sailingプロジェクトを認定をした。
     
      Diffractive Solar Sailingプロジェクトとは、起業家やイノベーターたちと将来的に画期的な宇宙技術となる、実現する可能性が高いアイデアを研究するにあたって200万ドル(約2.5億円)の資金を支援することを決めるための認定だ。
       
        プロジェクト「ソーラーセイル」とは、太陽の光を受けて推進力を得る航法であり、それを実現する薄膜状の帆のことも指す。 このようなことは、いままでSF小説の中で描かれる実現可能性の低い技術と思われていたが、惑星協会が2015年および2019年に実証機を打ち上げたことにより、巨大な帆の展開と太陽光による軌道変更が宇宙空間で行えることが判明した。
         
          2810年には、日本でもJAXAが実証機IKAROSを打上げたことにより、薄膜太陽電池を兼ねるソーラーセイルを用いた光子加速を実証している。
          また、小型ソーラーセイルを利用した姿勢制御モードを備えている小惑星からのサンプルリターンを目的とする探査機はやぶさ2もある。
           
            今回、NASAが支援を決定したのは、光の回折現象を利用する回折式ソーラーセイルについて研究開発を行うプロジェクト。 通常のソーラーセイルは、太陽光が反射する際に、帆にあたる光子の圧力を利用して推進し、当たる光の方向によって宇宙機の進む方向もほぼ決まってしまう。
             
              しかし、NASAが支援した回折式ソーラーセイルは、帆が回折格子(グレーティング)構造になっており、光を方向転換させる回折を利用することで、角度を変えれば推進する方向も変わるため、軌道上で機体を制御しやすくなるのだ。
               
                フェーズIIIの研究では、2年間の間にプロジェクトチームがいろいろな種類の素材を試験し、回折式ソーラーセイル実用化の可能性を高めていくことに集中していく。
                また、実現が難しいとされる太陽極軌道を周回する探査機に適用し、それを多数使用して太陽のコロナと表面磁場の測定を実施。
                そして、太陽風などの発生を予測する宇宙気象予報などに役立てて行くことを見据えている。
                 
                  このプロジェクトは、実現すれば宇宙開発において飛躍的な進歩が得られるような技術の研究を支援するためのものであり、このプロジェクトの大切な過程はフェーズIIで終了するとのこと。
                  フェーズIIIにコマを進めることができた回折式ソーラーセイルの研究には、それだけ見込みがあると考えられており、実現に向けた研究開発が”軌道に乗る”ことを祈るばかりだ。

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