“離婚”に踏み込めない主婦の助け、弁護士費用の建て替えも…最近耳にする『法テラス』とは?

2023/01/24

    近よく耳にする「法テラス」とは、法務省が所管する公的な法人であり、問題や悩みを抱える人にとって、司法との最初の接点となる場所のひとつである。
    全国対応のコールセンターである法テラス・サポートダイヤルに相談すると、内容によって、弁護士会・司法書士会、日本労働弁護団、日弁連交通事故相談センター、消費生活センターなど、連携する各種の専門機関などへの案内されるのだ。
    このダイヤルに限らず、法テラスに相談をするとトラブル内容の確認・整理と、それに応じた情報提供が行われる仕組みになっている。
    最新の『法テラス白書』(令和3年度版)によれば、サポートダイヤルへの相談内容で最多の分野は、コロナ禍も影響してか「金銭の借り入れ」が17.5%、次いで「男女・夫婦」が13.6%。
    そして男女別にみると、特に男性には金銭の借り入れ問題が、女性には男女・夫婦のトラブルが多く、全体における女性利用者の割合は52.9%だ。。
     
      しかし法テラスの相談者のなかには、問題の深刻さに無自覚な場合も多い。
       
         「離婚と債務のトラブルを同時に抱えて、更に日常的な暴力を受けているのに気づけず、男の人はこういうものだから、と思い込んでしまっているケースもありました。他の公的機関の方から法テラスに相談したら、と促されてお電話をくださって、そこで初めて、自分が深刻なDV被害にあっていると認識できた。その方の場合、ご自身の債務もあったり、離婚後の親権のこともあったり、更にお子様にも虐待が及んでいたり。問題がかなり複合的で、深刻に困っておられました。法テラス経由で弁護士に無料で法律相談をして、離婚と債務整理などを行い、諸費用は分割で現在、返済いただいています」(法テラス・本部犯罪被害者支援課職員)
         
           法テラスでは、「収入等が一定額以下であること」など一定の基準を満たしていれば、調停や債務整理、裁判などにかかった費用を立替えてもらえる仕組みが整備されている。
          また費用は、月々の分割返済となり利息もかからない。
           
             「泣きながら電話してこられて、暴力を受けた直後だと打ち明けてくださる方もおられます。時間がかかっても、まずは丁寧にお話をうかがって、こちらに何ができるかを考えることを心がけています。いくつもの気持ちの上でのハードルを乗り越えて電話してくださっているわけですし、その方にとっては人生の重要なターニングポイントかもしれない。できる範囲で配慮しながら対応を行っています。まずは、ご自分が困っている問題や巻き込まれていることが法的トラブルかも、と認識していただくことが大事だと考えています」(前出・本部民事法律扶助第一課職員)
             
              日本で「法律相談」はまだまだ浸透していない印象だ。
              しかし、更なる少子高齢化の加速で、これまで親族や関係者の間でウヤムヤに処理されてきたような事柄にも、成年後見人制度のような法的な介入が必要となるケースが増えてくる。様々な法的トラブルに遭遇した場合、どんなアクションを起こすべきなのか「知識を武器にする」という意識も重要なのかもしれない。

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