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なぜ地域によって「教習内容」違う? 学科は同じも「技能」は地域差あり!
2023/10/30
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日本の自動車を巡る環境は、他の先進国と比べるとやや特殊なものだ。
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運転免許センターや免許試験場で実技検定を受けて免許を取得することも制度として残されてはいるが、これは運転経験者が免許の取り消し処分を受けて、欠格期間を経て再取得する場合に利用するケースが多い。
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全くの新規で免許を取得するには、教習所を利用するのが一般的だ。
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最近では外国人労働者も教習所に通って、日本の運転免許を取得することも珍しくない。
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日本でビジネスを続ける上で日本の運転免許を取得して運転した方が得策だという判断である。
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しかしながら、実際に路上を走っているクルマの中で、教習車は運転が未熟なだけではない独特の存在感を放っている。
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ボディサイドにデカデカと教習所の名前が入っていたり、グラフィックが描かれていたりすることもあり、教習車だけが浮いた存在なのは、周囲への注意喚起としても重要な意義があると思うがそこが問題ではない。
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一方でマツダが「アクセラ」セダンを教習車として販売していたから、今見ても違和感の少ない教習車もある。
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マツダはドライバーの運転感覚に寄り添うことにも注力しており、ハプニング時の緊急回避手段としてもサイドブレーキが有用であることから、近年までレバー式のサイドブレーキを採用してきた。
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ユーザーの要望の変化からEPBに移行した車種もあるが、いまだにレバーを採用する車種を残している。
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これが教習車の需要とマッチしていることから、マツダはアクセラから「デミオ」(現行の「MAZDA2」)に教習車を変更し、わざわざ輸出仕様のセダンを教習車として仕立てている。
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なぜそんなことをしているのか。それは前述の運転免許の取得方法にも端を発している。
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意外と知られていないのだが、自動車教習所は教習に使われるコースの内容も決まっていれば、その教習に使われるクルマ、教習車にも制約がある。
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こうした良く言えば日本特有の真面目さ、悪く言えば頭の硬さを感じさせる。
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実は事故死傷者が減少しているのは、免許取得の厳格さや取り締まりなどによる安全に対する意識の高まりよりも、自動車メーカーによる安全装備、衝突安全性の向上によるところが大きい。
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つまり交通ルールや取り締まり、さらには運転するドライバーが交通事故死傷者減少に対して貢献している割合は少ないのだ。
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なぜなら交通事故の発生件数は半減している程度であり、その理由も自動ブレーキによってドライバーの操作ミスが減少している効果が大きいからだ。
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今や新しい自動車教習所が開所されることは非常に少なく、合宿型を過疎地に作ることもあり得なくはないが、それでもかなりのレアケースだろう。
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そうなると教習車を完全に一新することは難しいことが見えてくる。
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そこで定期的に教習車の何割かを入れ替えることになるのだが、ここで問題が発生する。
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教習車によって操作方法が変わってしまうと、教える側にも戸惑いが生じてしまうのだ。
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運転教習を受ける生徒の方も、車種によって操作方法が変わってしまうと、それに慣れるための練習時間が必要になり、運転技術の習得に余計な作業が加わってしまう。
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どちらかというと免許取得者ではなく、教習所側の都合でなかなか教習車の操作方法は変えられない、というのが実情のようだ。
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また、生徒に対しても、教習車で慣れ親しんだブランドのクルマを購入しようという刷り込みにも似た効果も期待できる。
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ともあれ、教習車に最近のクルマに合わせた先進的な装備を備えさせ、それを教習内容に盛り込むのはかなりハードルが高いことだけは間違いない。
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