進む若者の政治離れ 日本は民主主義を守れるか

2022/08/21

    早稲田大学の女子学生は、日本の「政治」に対する印象を「政治家の皆さんはそれぞれに日本のことを考えて、社会を良くしようとしているはずなのに、貶め合うような論争ばかりが目について〝怖い〟イメージです」と語った。
    また、この彼女の言葉は現代の若者の声を代弁しているとも言える。
    昨年10月の衆院選では、55.93%と戦後3番目に低い投票率を記録しており、この選挙における10代~30代の投票率はいずれも全体平均を10%~20%近く下回っていた。 もし、本当に若者が政治に「怖さ」を感じているとすれば、若い世代が距離を置くのもあたりまえだ。
     
      では、よく問題視されている「若者の投票率低下」や「若者の政治離れ」は、日本にどんな影響をもたらすのか。
      その問題を世代間格差を研究する関東学院大学の島澤諭教授は「政治的影響力が強く、経済的弱者と見なされがちな高齢世代に向けた政策が優遇される〝シルバーファースト主義〟に陥る可能性が高まる」と指摘した。
      また、それが行き過ぎてしまうと、公共施設の維持や教育、少子化対策など、未来への投資の優先順位が相対的にさがることで、若者世代や将来世代に大きなツケが回ってしまうのだ。
      また、近代日本の政党政治に詳しい帝京大学の小山俊樹教授は「若者目線での社会の改善が期待できなくなるため、『多様性』が失われ、自分と異なる意見を持つ人に対する『寛容性』の維持も難しくなり、民主主義の基盤が揺らぐことになる」と語った。
      そして、政治学が専門の東北大学・河村和徳准教授も「世界には、民主主義的な制度の下で当選したはずの指導者が任期の撤廃や非人道的な弾圧に走るなど、権威主義国家に近づく例もある。こうした予兆があるとき、若者が積極的に参加していれば、長期間抗うことができる。つまり、独裁政治への抑止力にもなる」と、小山教授の解説に付け加えた。
      では、そのような「若者の政治離れ」を、私たちはどう解決していけばいいのか。
       
        この問題に取り組んだ愛知県豊田市では、2019年の県知事選の期日前投票で路線バスを利用した移動型に取り組んだ。
        この取組の内容として、朝夕のラッシュ時間帯以外で車両の有効活用を望んだ名鉄バスと組み、官民協力の下で実現しており、市内3つの大学に3日間設置することで若者の投票率向上を目指した。
        また、千葉県富里市では、選挙権が18歳に引き下げられる11年前から、市内の高校生に選挙に従事してもらう取り組みをはじめた。
        内容としては、高校に協力を仰いで従事者を募集し、これまで延べ108人の学生が本人確認や投票用紙の手交などに従事しており「学生の意識改革」の効果を実感している。
        このように、「若者の政治離れ」を解消していくためには、若者も民主主義社会を「自分たちも変えることができる」と自覚と他者への思いやりをもって政治に参加していくことが大切だが、それに向かって「どう活動していくのか」に着目していくのも大切なのだ。

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