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有給休暇の使い道は?退職するなら全て消化すべき?
2023/11/15
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あなたは年次有給休暇(有給、年休)を全消化して退職したいと感じているか。
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J-CASTニュースで読者投票を実施したところ、肯定派が大多数にもかかわらず、退職経験者のうち2割が「社内で圧力」を受けて全消化しなかったとの結果が出ている。
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労働者の権利にもかかわらず、なぜそのような事例が生じてしまうのか。
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雇用システムの特徴を表す「ジョブ型」「メンバーシップ型」という概念が重要になる。
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欧米はジョブ型で、職務範囲を明確に定めて厳格に運用していく。
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一方で終身雇用が前提にある日本の大企業を中心とするようなメンバーシップ型の働き方は、その考えが弱く、辞令に従って配置転換や転勤、残業の命令に対応しなければならない。
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柔軟性のあるシステムだからこそ、チームワークや調整は上手くおこなえる。
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「家族のように同じ屋根の下で長い時間を一緒に暮らして、特に指示がなくても上司の意向を汲み取る。ある意味では、コミュニケーションの仕方としてはものすごく効率的な世界です。欧米は、基本的に個室で仕事をするため色々なことを明確に伝えないといけない。『俺の背中をみて仕事しろ』なんてことは言えません」ということだ。
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反面、長期的な雇用関係を本質とするメンバーシップ型は職場の連関が強く、長時間労働にも繋がってくる。
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加えて、ほかの長期的かつ継続的な関係でみられるように、暗黙の「社会的規範」が生じる。
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日本の企業社会では機会主義的な行動をすると「村八分」や出世に関わるなどペナルティが大きく、皆が協調的にふるまうという。
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有給についても「全部消化をしないのが、あるべき姿」という社会的規範に縛られる。または病気休暇がない代わりに残すケースもある。
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しかし、一度限りの関係であれば、お互いに自分の得を考えようとする気持ちが働く。
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メンバーシップ型を念頭に置いた際、退職時は周囲や組織との関係の終点となり、日ごろ有給が取れなくても全消化しようと「開き直る」のは、経済学的に合理的な行動で、それ自体を責めるのは難しいと述べる。
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鶴氏によると、メンバーシップ型の社会は広く言えば、「職場に従業員がいないことを許容できない仕組み」でもある。有給消化の問題だけでなく、働き方改革やウェルビーイング(心身の社会的健康)など先進的な取り組みとして進められているような副業、フレックス、リモートワークに対しても消極的という点に結びつくと指摘する。
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これらは職場にいないことを「許容する」仕組みにあたり、むしろ従業員の活性化、企業に対する愛着に繋がる部分もあるという。
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「従業員が職場にいないと何をしているか分からない、さぼっているだろうという意識が一番良くない。従業員を信頼していないということです。従業員の自律性や自発性に気持ちが及んでいない。今、働き方として『自律』はすごく大事です。細かいことを言わなくても自分たちで意識を持って働いていくのを重視する。キャリアの自律性もそうです。そうしたところに思いが行かないと、これから企業のなかでイノベーティブな仕事、イノベーションを起こすことは出来ません。そのため、ある程度、従業員が職場にいないことを許容する仕組みを考えてほしい」と伝えている。
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