“増税メガネ”にウンザリ…増税メガネの発言が全く信用ならないワケ

2023/10/10

    「コロナ禍を乗り越えた国民の皆様は、今度は物価高に苦しんでいる。今こそ、この成長の成果である税収増等を国民に適切に還元するべく、経済対策を実施したいと考えている」
    岸田首相は9月25日の記者会見で、このように国民への「還元」を約束している。
    さらに「我々は、ようやく『冷温経済』を脱し、活発な設備投資、賃上げ、そして人への投資による経済の好循環を実現し、経済の熱量を感じられる『適温経済』の新たなステージに移れるチャンスを今、迎えている。このチャンスを逃すわけにはいかない」と説明。
    コストカット型の経済から、持続的な賃上げや活発な投資が牽引する成長型経済への転換を急ぐため10月中に経済対策をまとめる意向を表明。
    国家のトップリーダーが「税収増の還元」を宣言し、その中身や規模に期待する人もいるだろう。
    自民党の世耕弘成参院幹事長は「所得税を減税し、勤労者の手取りを増やしていくというのは非常に有効な措置だ」と語り、15~20兆円規模の対策が必要との考えを示した。
    公明党の山口那津男代表も現金給付や所得税減税に加えて、地方自治体が活用できる交付金の追加を求めているのが現状だ。
    首相が語った「税収増を国民に還元」というのは、国民への現金給付または減税を指すと受け取るのが自然だ。
    住民税の非課税世帯に限定した低所得者対策だけでは「国民に還元」したとは言い難く、規模は小粒になる。
    昨年度の税収は71兆円超と過去最高を更新し、前年度から4兆円も増えている。
    インフレや円安、賃金・雇用の回復などを背景に財源があるにもかかわらず、その還元を「一部の国民」だけに絞る必要はないからだ。
    岸田首相の諮問機関である政府税制調査会は、サラリーマンの退職金や通勤手当などの課税見直しも机上にのせており、「先送りしてきた代替財源の穴埋め」(政府関係者)を探すことに躍起となっている。
    加えて、自治体間の財源の偏在を調整するための地方交付税では足らないと見るや、東京都など大都市の税収を剥奪して“国税化”する偏在是正措置も強行しようとしている始末。
    机上にのるサラリーマン増税プランや、地方自治に逆行する国主導の愚策に共通するのは「取れるところから取る」という岸田政権の姿勢だろう。
    岸田首相は、かねて「理念や国家観がない政治家」と永田町で言われてきた。
    だが、1つだけ明確になってきたものがある。
    それは「新しい主義は、新しい社会主義である」ということで、後先のことを考えず、とにかく成長よりも分配を優先して追い求める。
    そうした姿勢に苦言を呈してきたとされる安倍元首相が亡くなった今日、「岸田カラー」はいよいよ色濃くなってきている。

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